新しい小さめのビオラを設計。
クワルテットを主な活動の場にしている方へのビオラなので、
小さいながら、ビオラらしさ、深い音とパワーをどれだけ維持できるかが、落とし所。

純粋に大きなビオラを縮小すればよいというものではなく、
必要な弦長と、望むF字孔のサイズから、全体のバランスを整えていく作業が続く。
雲形定規で引いたり、過去のモデルから一部を持ってきたり。
描いては消して、また描いて。

今の時代、PC上でCADなどで進めていくのが普通だが、
1/1サイズで、手で線を引いていくほうがより直感的で、手から出る無意識のブレが、
良い結果をもたらすような気がして、いまだに不効率でも手で引いている。

こうして設計をしていると、過去の製作家がいかに知恵を凝らし、
美的感覚にも優れていたかを思い知らされる。
「音楽のための道具」としての域を超えた、造形美への思いを感じる。
ゆえに、普通「道具」とはアノニマスデザイン的評価や、デュオニソス的要素が強く出るものだが、
作家性と機能の融合が重視されるバイオリンは、他の道具とは一線を画すのだろう。

ここまで思いをめぐらした所で、
しかし作る側は「音楽のための道具」であるということを忘れてはいけないと、
自分を戒めた。

航空機の設計者が、
「尾翼の角度を4度変えても性能に変化がない。その時には美しいほうを選ぶ」と話していた。
ここに立脚していなければならない。