クレモナには、一年に一度行われる「謎のインド人の行進」がある。
今年は10日ほど前に行われた。
数百人のインド人が色とりどりの伝統衣装に身を包み、太鼓を打ち鳴らし、
彼らの言葉で何かを叫びながら、クレモナの大通りを練り歩いていく。
衣装や音楽はお祭りなのだが、その表情や叫び声は何かを訴えているようでもあり、
何のために行われているのか判別としない。
大通りをカラフルな色で埋め尽くす様は、自分がどこの国にいるのか解らなくなる。

クレモナ県には現在7000人のインド人がおり、外国人の内17%を占めている。
殆どが酪農に従事しており、酪農が基幹産業となっているクレモナにとっては
欠かせない存在である。
一方で、クレモナ市街で生活をしていると、彼らがこれほどの数がいるとは俄には信じられない。
それは彼らは酪農が行われる周辺の町や、牛舎に住み込みで働いているからである。

この大通りを突如占領する「大行進」にイタリア人の反応もさまざまである。
いつものことかと眺める者、唖然とする者、罵詈雑言を浴びせる者。
その中で好意的な視線を見つけるのは難しい。
しかしこの「大行進」の面白いところは、最後の列のインド人は、道を綺麗に掃除をしながら、
沿道にいる見物人に水やジュースを配ってまわるのである。
そして綺麗になった道を残し彼らはまた郊外へと消えていくのである。

イタリアは移民問題に頭を抱えている。
それは生活保護需給者が増え財政を圧迫し、犯罪の増加が懸念されるからだ。
不況と共に問題はより顕著化している。
しかし、インド人の犯罪率は他の東欧系外国人や南米系外国人より低く、
生活保護需給率も低い。

今後も増えていくインド人は、「良き隣人」となりえるのか。
その時クレモナは「良き隣人」だと認められるのか。
クレモナも揺れている。